高慢と偏愛

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大上段から斬りこむ偏愛ミーハー海外ドラマ日誌

 

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HOMELAND S2 Ep1 The Smile― Carrie is Back

HOMELAND S2 Ep1 The Smile 裏切りの笑み

・こっちの“キャリー”も怖い
このドラマは、ざっくり言ってしまえばダミアン・ルイス演じる元軍人・ニック・ブロディの「裏の顔」を
めぐるサスペンスなんだけど、私はむしろ、クレア・デインズ演じるCIA局員・キャリー・マティソンの、
これもある意味「裏の顔」と、それゆえの彼女の振る舞いをめぐるスリラーとして楽しんでいる。
だってあまりにもハマっていて、ニックがかすんじゃうんだもん。

シーズン2もやってくれました。シーズン1ではキャリーの「個」の部分とスリラーを楽しんでいたので、
最終話でいよいよ話が大々的に動いたときにはちょっと寂しさすら覚えるくらいだった。
見ている間は毎週楽しみにしていたし、すっかり引き込まれてあっという間に終わってしまう
一時間だったけれど、最終話を見終わってしばらくして、少し冷静になると、
いろいろ「あれはどうなんだろう」とか気になるところも出てきたり、
「やっぱり作品賞はMADMENでもいいかも」などと思っていた(まあそれは今でも思ってるけど)。
でもシーズン2の第一話が結構控えめな感じで始まっていたのにまず好印象。
「24」の製作者と同じとはいえ、明らかにあの作品とは違う、意外と派手派手しくないオープニングは
「HOMELAND」のトーンは健在なんだなと思わせ安心した。
前シーズンも大げさなクリフハンガーとかで終わってなかったし、今回もじっくりとハラハラさせる
スタイルは健在で、製作陣もよっぽど自信を持ってるんだろうな、という余裕が感じられた。

それでまあ話的にはいろいろあったんだけど、やっぱり「キャリー」に持ってかれた!
シーズン1でCIAの職を追われてしまったキャリーだったけれど、とある事情で特別にテンポラリーで
任務に携わることに。持病の双極性障害の方は落ち着いているものの、
それはあくまで今の静かな生活のたまものであるため、極度の緊張を強いられる任務につくのは
あまりにもリスクが高い。仕事の内容も、別人になりすまし、情報源に近づかなければないというもの。
偽の経歴を、「現役」時代のようにうまく覚えられない自分にイラつくキャリー。
で、結局尾行されて逃げる羽目になるんだけど、窮地に立たされて勘を取り戻したのか、
はたまた火事場の馬鹿力か、機転をきかせてその場を切り抜けるキャリー。
ここで見せる、キャリーの表情!!ここだけもうホラーです。もうね、この目のギラついた、
「あたしできるんだ!できた!!」という狂気の笑顔、これを揺れるカメラでちょっとだけ映す演出、
これは完全にスタッフも確信犯的にホラーテイストにしてるとしか思えませんでしたよ!
スティーブン・キングの「キャリー」もまっつぁおですよ。それにタイトルを見たら、ずばり「The Smile」。
これはやっぱりあのコンマ何秒かの笑みをさしていると私は思いたい。
キャリーのホラーっぷりに「こわっ」と思うと同時に、「うほっ!キタ!」と
こちらも瞳孔開いてテンションあがってしまう、ちょっとヘンなハマり方をしているのであります。

・排除の文脈―エクソシズムと精神医学
私事ではありますが、最近映画「ザ・ライト エクソシストの真実」を見てすっかりハマってしまい、
エクソシズム関係の本を読み漁っていた影響で、このドラマを見てキャリーと彼女を取り巻く環境や現象に、
悪魔憑きのそれを重ねてみてしまいました。というのも、現代にも脈々とある悪魔憑きというのは、
実は「憑かれた」人たちが何らかの精神疾患をきたしていたり、強い暗示にかかっている状態だった
という事情が多くあるからだ。キャリーがニックをテロリストと主張して、周りはそれを信じずに
彼女はどんどん孤立していくんだけど、「”狂女”の虚言妄言とそれを取り巻く社会の取り扱い」という構図が
そのまま「悪魔憑き」のそれに置き換えられるように思えたのだ。エクソシズムの文脈では、
「本人だけが見えたり感じたりする現象を起こすことによって、周囲から孤立させる」というのは
まさしく悪魔の意図するところらしいのだけれど、現代では、キャリーの「病気」が妄想を生んでいる、
と周囲にみなされている。場所が場所なら、キャリーは「悪しき」妄想に侵され、
色欲に溺れた「悪魔」に憑かれた者として悪魔祓いを受けてもおかしくないな、とふと思ってしまった。
(色欲の部分はドラマの本筋とは関係ないが、双極性障害の一症状としての「性的逸脱」が
悪魔憑きの現象と一致するのだ。まあだからこそ、昔はきっと今でいうところの精神障害と悪魔憑きが
混同されていたのだろうなと思う)。

実際には、キャリーが狂気をはらんでいるのは主に疾患によるものであり、
彼女の主張していることには確かに「現実」が含まれている。
だが周囲の誰ひとりとしてそれを信じようとせず(よき理解者のソールですら)、
彼女がそれに固執すればするほど、その振る舞いが余計に「異常性」を際立たせ、
周りはどんどん「現実」あるいは「真実」から遠ざかっていく。
このあたりの彼女の孤立感やもどかしさはスリラーとして最高に面白い。
面白すぎて主役であるはずのニックの物語がちょっとかすんでしまうのだ。
たぶん、キャリーを演じるCIA局員の女性は実在の人がモデルとなっているのだろう。
(映画「ゼロ・ダーク・サーティー」のモデルと同様だと思われる。
「60ミニッツ」のビン・ラディン殺害に関する取材でも、SEALSの隊員たちが迷っている局面で、
確信を持って「絶対にビン・ラディンはここにいる」と主張し、追跡チームを牽引したのが実在の
女性CIA局員だったと言っていた。その後に見たCNNの特集番組では、
女性の関係者が2名インタビューされていて、モデルとなったのは一人ではない、と言っていた)
実際の彼女が同じような疾患を持っていたかは不明だが、どちらにしても、
物語を面白くする(というと語弊があるかもしれない)要素がキャリーにはたくさんあるのである。
「魔女狩り」やエクソシズムの対象者というのが女性に多いというのも共通点。
でもこれは、奇妙な符合というよりは、排除の論理がかつての宗教的・超自然的文脈から、
(多くの女性が社会進出した現代にあっては)精神医学にとってかわっているということなのかもしれない。
エクソシズムの本を読んだときに印象に残ったのが、エクソシズムなどの超自然的解釈が対象者を解放し、
治癒の方向に向かわせることがあるのに対し、(精神)医学では、逆に患者を孤立させることがある、
という精神科医の話だった。
キャリーを見ていても、「異常」な状態に対する現代のアプローチが皮肉にも彼女を孤立させている面も
あるのかもしれない、と感じたのだった。

以下メモ。
・女性たちの役割
キャリーもそうだし、女性たちが結構重要な役回り

・ニックの娘の重要性―S2でも同様。特に、ブロディが「イスラム教徒」であることを
暴露するエピソードはとても自然な形で織り込まれていて、S1のスタイルを崩さないトーンでの
リアリティでとてもよかった。

・「24 」との違い
2001-2010までの変遷。
アメリカ国籍の「テロリスト」
ジャック・バウアーではいられない
ジャック・バウアーが信じた(あるいは信じたかった)&守りたかった「アメリカ」への失望―ニック
・拷問―まだ続く?
・S2でのニックの立場―まだテロリスト?潜入スリラー

テーマ : 海外ドラマ(欧米)    ジャンル : テレビ・ラジオ
 
 

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かなり暗い雰囲気を醸しているので、その世界観にひたれるか微妙な感じがして期待値は4だったが、2014年6月9日にシーズン1を見終えた段階では、予想通りに暗いし、かなり重めのドラマではある…
 
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Author:daijodan
海外ドラマといえば地味で硬派な刑事や
ギャングものが大好きですが、
一方でハリウッドゴシップにも目がない、
大上段ミーハー偏愛記録。

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